こんにちは。
アラフォーDINKSのすーです。
ストレスなく、おだやかに暮らすことが心がけています。
今回は「あのこは貴族」という小説の感想です。
この小説は私の大好きなpodcast番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」で「あのこは貴族」の映画がおもしろいと紹介されていて、気になったので、映画ではなく、まず小説をと思って読んでみました。
そうしたら、とてもおもしろくて、今年1番のお気に入りの小説になりそうです。
おもしろかった点を2つ挙げながら感想を書いていきたいと思います。
1.分断
1つ目のおもしろかった所は、2つの「分断」が描かれている所です。
・東京と地方の分断
1つ目の分断は内部と外部の分断。
この小説は2人の主人公がいます。
ひとりは東京生まれの箱入り娘の華子。
松濤の整形外科医院の開業医の娘で、小学校からエスカレーター式の名門女子校出身のお嬢様。
もうひとりは地方の田舎生まれの美紀。
大学で上京したが、田舎の産業が衰退して、実家からの仕送りがなくなり、夜の仕事をして生活費を稼ぐも、大学を中退となってしまった苦労人。
この二人が一人の男性を巡って出会うんですが、対比がおもしろいんです。
この小説では、東京の上層部を大学の内部進学者として「内部」、それ以外の人を外部受験者として「外部」と表現されています。
華子は内部の人間、美紀を外部の人間の象徴として描かれています。
おもしろかったのは、外部の人間から内部の人間に対する違和感、あこがれ、対して、内部の人間は内部の人としか関わらないので、外部の人との違和感は気にならない。
内部はクローズドコミュニティ、という所。
これを読んでめっちゃわかる〜!っていう気持ちになりました。
私はブログを読んでいてわかる思いますが、外部の人間です。
高校は中学校から大学まである私立校でした。
別に名門女子校とかじゃないですが。
中学から内部進学した人の中に入っていく外部受験者でした。
あまり内部と外部の敷居は高くなかったけれど、やっぱり仲良しグループは内部と外部で分かれていたな〜。
そして、私は高校から内部進学して、大学も行けるんですが、なぜか受験したいという外部の挑戦者としての気持ちが芽生えてしまい、また外部受験します。
そして外部受験者として大学に行くことになりました。
その大学は系列の小学校からあって、内部と外部の違いがありました。
高校の時よりその違いが明確だった気がします。
小学校からエスカレーター式に大学まで進学した人と仲良くなることはありませんでしたが、明らかに内部進学者と外部の自分との違いがわかるようなことが度々ありました。
例えば、大学入学当初からブランドバッグを持ち歩き、髪の毛もきれいにブローされた女子大生。
それも1人でなく、同じような人が何人もいて、仲良しグループで固まっているんです。
雑誌から出てきたような人達が同じ教室で授業を受けているのが最初よくわからない状態でした。
あとから聞けば、内部進学者だったみたい。
私は、そんな人達に違和感半分、憧れ半分のまなざしで日々注目していました。
まさにこの小説の美紀と同じように・・・。
この分断をこの小説では「日本は格差社会じゃない、階級社会」と表現していますが、まさにその通りだと思いました。
歴史的に続き、クローズドコミュニティで他を寄せつけない階級社会。
格差社会って挽回可能なところがあるけれど、階級社会は生まれ持ったもので挽回不可能って感じがする。
・女性の分断
2つ目の分断は女性の分断。
・若い子とおばさん
・既婚者と未婚者
・専業主婦と働く女性
・嫁と姑
など女性は分断されていてお互いに仲良くしないようになっているいうもの。
なるほどなぁと思いました。
女性を分断する価値観が社会に根づいている、そして、女性自身がそれに染まってしまっているというのは、普段あまり意識していないけれど、そうなのかも。
私自身も学生時代の友達の中で子どもがいる人とはなんとなく付き合いづらくなっています。
忙しそうなので誘いづらいという物理的なのもありますが、話題が違うんじゃないかなとか劣等感的な精神的なものもあります。
この精神的なものって、分断の価値観なのかも~。
その価値観がなければ、話題が違うのも違う話が聞けて楽しい思うかもしれないし、劣等感も子どもがいる人の方が偉いということを思わないから劣等感を抱かないのかもしれない。
それぞれ違ってみんないい!みたいな。
そして、この小説ではこの2つの分断が描かれて終わるのはなく、乗り越えていくんです。
それが今っぽくていいな~と思いました。
分断を乗り越えていくのは、自分の意思で動くようになったからだと思います。
2.自分の意思で動くことで分断を乗り越えて、幸せになれる
華子は今までベルトコンベア式に流されて生きてきました。
小学校からエスカレーター式の学校に入り、大学まで何事もなく流されて、何も選ばない、決断しない人生。
それが婚活を始めて、変わってくるんです。
今まで内部の中だけで完結していた人間関係に外部の人が入ってくる。
内部の中だけでは考えなかった様々なことを考えるようになる。
そして、自分で主体的に動き始めるんです。
内部の人間の幸一郎と結婚したことによって、ベルトコンベアの上に戻ったが、自分で一回動くようになると、今までのように選ばない、決断しないことに疑問が生まれるようになるのかもしれない。
誰もがうらやむ結婚は誰もが反対する離婚になる。
だけど、離婚を「決断」。
これが華子の初めての大きい「決断」だったのだと思う。
そして、これが幸せになる第1歩だったんだろうなと思う。
一方、美紀は外部の人間で、色々決断をしてきた、賢い女性だったが、内部へのコンプレックスで幸一郎と別れられないでいたが、別れる「決断」をしたことでそのコンプレックスがなくなった。
そして、帰りたくないと思っていた地元(外部)を盛り上げる仕事をするようになる。
華子は内部から飛び出し外部と関わっていくことで、美紀は内部コンプレックスをはねのけ外部を盛り上げることで、内部と外部の分断がなくなっていったんだろうな。
また、女性の分断もこの2人なら乗り越える気がする。
持っているものや肩書きにとらわれず、その人の人間性をみて付き合っていくことができる2人なんじゃないかな。
3.「あのこは貴族」の感想・まとめ
「あのこは貴族」は分断、そして決断することによって分断を乗り越えていく小説でした。
おもしろくて読みやすいけれど、女性が勇気づけられる深い内容の小説。
多分今年1番よかった小説になりそうです。
ここでは触れなかった、華子の友達の逸子も主人公2人とは違った立場の女性で逸子が2人の間の橋渡し役として描かれているのもおもしろかったです。
最初にも書きましたが、「あのこは貴族」の映画もあるので、機会があれば観たいなと思います。
「 #あのこは貴族 」今年読んだ小説の中で一番おもしろかった〜。
— すー (@8Suu4) 2021年10月17日
昔の林真理子のエッセンスが入ってるけど、現代風でもある。
ブログにまとめたいけど、うまくまとまるか…?? pic.twitter.com/0kwPD9KCXg
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